大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和40(オ)49 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人宮井康雄の上告理由第一点について。

ある契約が甲乙間に成立したとの主張に対し、裁判所が右契約は甲の代理人と乙

との間にされたものと認定しても弁論主義に反するとはいえない(昭和三三年七月

八日第三小法廷判決・民集一二巻一一号一七四〇頁参照)。それゆえ論旨は理由が

ない。

同第二、三点について。

本件の争点は、D産業株式会社から本件土地建物を買い受けたのが上告人である

か被上告人であるかの点にあるのであつて、上告人が被上告人から右土地建物を取

得した事実は上告人の主張しないところである。したがつて原判決も右事実につい

て審理しているものではない。論旨は前提を欠き採用できない。

同第四点について。

上告人の主張は、上告人においてD産業株式会社から本件土地建物を買い受けた

というにあるのであつて、所論の抗弁を主張しているものではないことは本件訴訟

の経過に照らし明白である。論旨は理由なく、排斥を免れない。

同第五、六点について。

原判決は、本件営業のその後における実態からみて、被上告人が家督相続をした

時以来、同人がE製造所の営業主たる地位についたと認定するのが相当であるとし

ているものであつて、家督相続に因つてのみその地位についたと認定しているもの

ではないから、論旨は、原判決の誤解に由来する無用の論議であつて、採用できな

い。

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同第七点について。

原判決の、本件営業の主体は被上告人である旨の事実上の判断は、その認定して

いる間接事実に照らして是認できなくはなく、右判断が合理性、客観性を欠いてい

るものとは認められない。論旨は採用するに値しない。

同第八点について。

登記がなければ支配人であることを否定しなければならないものではなく、また、

代理人が自己の名を示すことなく本人の名だけを示し本人の印をおして行為するこ

とも有効な代理の形式というべきであるから、所論のような事実があるからといつ

て、上告人が本件営業の支配人であるとの原判決の判断が誤りであるとはいえない。

論旨は採用できない。

よつて、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致

で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 田 中 二 郎

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 下 村 三 郎

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